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産業再編を官任せにさせるな

日立製作所など3社の中小型液晶パネル事業を統合し、2012年に発足したジャパンディスプレイが株式を上場した。

大株主である官製ファンドの産業革新機構は保有株の約半分を売却し、出資額の8割にあたる1600億円を回収した。今後、革新機構が残りの保有株も円滑に売却できれば、公的資金の回収は確実になり、ジャパンディスプレイの経営の自由度も増す。

ジャパンディスプレイが発足後2年という短期で上場できた背景には、中小型液晶が使われるスマートフォンやタブレット(多機能携帯端末)の需要拡大がある。革新機構の出資を増産投資に回し、需要増に機動的に対応した。

母体3社と関係の薄い人材を経営トップに招き、経営の一体化を進めた効果も大きいという。NECなど3社の半導体事業を統合したルネサスエレクトロニクスは、母体企業の強すぎる関与が経営不振の原因とされている。

有望ではあるが、大企業が主力と位置づけていない事業を思い切って切り離す。大株主が事業資金を提供するとともに、経営にも目を光らせる。そんな産業再編のひな型の1つをジャパンディスプレイは示している。

ただ、同じことは官製ファンドに頼らなくてもできるのでないかという疑問はある。

革新機構が設立された09年は、金融危機のためにリスクマネーの供給が世界的に細っていた。日本は11年に東日本大震災も経験し、資本市場の機能が一段と低下した。金融の非常時にジャパンディスプレイのような産業再編を進めるには、公的な支援が必要だった面は否めない。

しかし、現在は資本市場が正常化しており、官製ファンドの役割も縮小に向かわざるをえない。豊富な資金を持つ民間のファンドや企業にとっては、産業再編を主導する好機だ。そうした民間の動きを官製ファンドが妨げていないかどうか、厳しく監視していく必要もある。

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