2019年2月21日(木)

クリミアの分離は緊張を高めるだけだ

2014/3/14付
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ウクライナ南部のクリミア自治共和国議会が国家独立の意思を宣言し、16日にはロシアへの編入の是非を問う住民投票を予定している。こうした動きは、混迷するウクライナの緊張に一段と拍車をかけるだけだ。国際社会は住民投票の回避に向け、ぎりぎりまで説得を続けていく必要がある。

クリミア半島はロシア系の住民が約6割を占める。ロシアの黒海艦隊も駐留する。ソ連時代にロシアからウクライナに割譲された経緯もあり、もともとロシアへの帰属意識が強い。住民投票が強行されれば、「ロシアへの編入」が承認されるのは確実な情勢だ。

住民の意思は本来、尊重されるべきだが、ウクライナ暫定政権はこの投票を認めていない。米欧も「領土変更は全土の国民投票で決定される」としたウクライナ憲法などに違反し、領土の一体性を損ねるとして撤回を求めている。

クリミアの議会が事前に「独立宣言」を採択したのは、住民投票はウクライナ憲法に拘束されず、ロシアへの編入も合法性があると主張する狙いがあるようだ。

だがクリミアでは、親欧米派が政変でウクライナの政権を掌握した直後から、ロシア軍とみられる武装部隊が主要施設を占拠した。ロシアは介入を否定するが、少なくともロシア軍の投入をちらつかせて強い圧力をかけている。クリミアは事実上、ロシアが実効支配する異常な環境のもとにある。

日米欧の主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)の首脳は「威嚇的なロシア軍の存在」がある住民投票には法的効力がなく、「結果を承認しない」とする共同声明を発表した。当然だろう。

ロシアはクリミアの住民投票を支持するが、ウクライナの民族対立を先鋭化させ、事態を一段と悪化させることを自覚すべきだ。ここは自制を働かせ、まずは投票の回避に動いてほしい。仮にロシアがクリミア編入を強行すれば、国際的な孤立は避けられない。

まず優先すべきは、政治の混迷と財政破綻の危機に直面するウクライナを一刻も早く安定させることだ。5月末に予定される大統領選を含め、政権移行を着実に進める必要がある。ロシアも地元住民も、クリミアの現状に疑義があれば安定政権のもとで合法的かつ友好的に話しあうのが筋だろう。

日本もG7の枠組みで協調しつつ、独自のパイプも生かしてロシアに自制を促していくべきだ。

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