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オービタル・クラウド 藤井太洋著

独創的なロマン 宇宙身近に

(早川書房・1900円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

21世紀の最初の十年もとうに過ぎた現在、宇宙は未(いま)だ遠い存在なのだろうか。いや、そうではない、実は意外なかたちで身近になりつつあるのだ。そう実感させるのが本書である。

流星観測の情報をウェブで発信している編集部員が、ある日不思議な現象に気づく。人工衛星がイランで発射され、切り離されたロケットブースターがそのまま落下するも流れ星にならず、なぜか妙な動きをし始めるのだ。続いてデブリと呼ばれる、軌道上の宇宙ゴミに不審な動きが出る。さて、いったい何が起こっているのか?

アマチュア観測家、宇宙航空研究開発機構、CIA、スパイなど多くのエピソードが徐々に組み合わさっていくとき、ひとつの巨大な事件が現れる。そのリアルな描写による臨場感が圧倒的だ。

宇宙はもはや米ソ冷戦時代のような国家事業の戦場ではなく、コンピュータシステムや、ウェブ産業に従事するごく普通の庶民が気軽に参加できる場になっている。企業やテロリストがたやすく侵入可能になった大気圏外の諸問題を思索しながら展開する、これはきわめて独創的な軌道ロマンである。

★★★★

(ファンタジー評論家 小谷真理)

[日本経済新聞夕刊2014年3月12日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

オービタル・クラウド

著者:藤井太洋
出版:早川書房
価格:1,995円(税込み)

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