勝者に劣らぬ敗者への敬意

2014/2/23付
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ソチ五輪がきょう23日(現地時間)、閉幕する。日本選手が獲得したメダルは21日までに金1、銀4、銅3の計8。メダリストは15歳の中学生、平野歩夢選手がこれまでの最年少なら、41歳、7度目の五輪だった葛西紀明選手が最年長という多彩ぶりである。

金メダルの羽生結弦選手ら、重圧に負けない10代の若者たちの演技が特に印象に残った。

冬季五輪には夏の五輪とは違う特徴がある。優劣が素人には分かりにくい採点種目が多いこと。雪や氷の上だから転倒などの失敗がつきものなこと。ヨーイドンで一斉に始まらず選手が順番に登場する種目が多く、風向きなど刻々変わる天候の影響を受けやすいこと、などである。

極度の緊張のなか、そうした難しさや運不運を克服して自分の持つ力を出し切り、求められる結果を得ることがいかに大変なことかを教えられた大会でもあった。メダルを期待され、失意のうちにいる選手もいるだろう。ただ、17歳の高梨沙羅選手には4年後、そしてその先がある。浅田真央選手のフリーの演技は素晴らしかった。

やはり敗れたスノーボードのスーパースター、ショーン・ホワイト選手(米)は「自分の日じゃなかった」と語ったという。そんな日は誰にもある。敗者への敬意が勝者に劣ることはない。

今回の五輪では、競技の後、支えてくれた人々への感謝を多くの選手が口にした。それが大会を通じて日本選手がさわやかな後味を残した大きな理由だ。

8年前、トリノ五輪金の荒川静香さんが演技で使った曲「トゥーランドット」を演奏していた世界的なバイオリニスト、バネッサ・バナコーンさん(タイ)がスキー選手として出場し、最下位ながら完走したという話題もあった。

五輪はどうしても自国選手の勝った負けたやメダルの数に目を奪われがちだが、心に刻みたい場面はいくらでもあった。6年後には東京五輪である。スポーツを見る視線はいろいろあっていい。

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