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まだ道半ばにすぎないユーロ圏経済再生

金融危機に苦しんできた欧州の経済が緩やかに回復し始めた。単一通貨ユーロを導入している17カ国の実質経済成長率は、2013年10~12月期に前期比年率で1.1%と3期連続のプラスとなった。ただ、力強さにはほど遠く、経済再生には様々な宿題に答えを出していかなければならない。

欧州は金融危機が深刻化するなかで、一時はユーロの存続すら危ぶまれる事態に追い込まれた。欧州中央銀行(ECB)がドラギ総裁のもとで金融の混乱防止へ強い姿勢で臨んだことや、欧州各国が金融統合に向けて一歩動き出したことで、危機はようやく収束に向かいつつある。

ユーロ圏の経済成長率は13年全体ではマイナス0.4%と2年連続のマイナスになったが、14年は3年ぶりにプラスに転じるとの見方が増えている。危機の影響が大きかったスペインやアイルランドなどの経済がようやく上向いてきたことに加え、米国など海外経済の改善が追い風になる。

ただ、欧州経済の足取りはなお重く、多くの問題を抱えたままだ。一番大きいのは高失業問題である。ユーロ圏全体の失業率はなお2ケタ台に高止まりしており、スペインやギリシャなどでは20%を上回っている。とくに若者の長期失業が深刻だ。

金融システムもまだ不安定だ。銀行は多額の不良債権を抱えており、資本不足の金融機関もまだ多い。このため、新規融資も滞り気味で、南欧の中小企業などは資金調達に苦しんでいる。こうしたなかで物価上昇率が低迷しており、一部ではデフレ転落を懸念する声も出ている。

これらの問題を乗り越えてユーロ圏経済を再生するには、各国が協調体制を強めていくことが欠かせない。

影響力の大きいドイツには内需促進のほか、域内の金融や財政の統合を進めてユーロ圏全体の底力を高めていく指導力が求められる。イタリアなど南欧諸国は引き続き成長力を高めるための構造改革が欠かせない。不良債権処理など金融の健全化も欧州全体として急がなければならない。

いずれも痛みを伴うが、実施しなければ欧州経済が長い停滞に陥る恐れがある。そうなれば、世界の中での欧州の存在感低下につながりかねない。経済回復に慢心することなく、「強い欧州」へ向けた歩みを進めてほしい。

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