2018年12月15日(土)

春秋

2014/2/9付
保存
共有
印刷
その他

「2センチ足らずの雪が、科学の街東京を一日でぬりかえる」。歌手の伊勢正三さんは珍しい雪にときめく東京人の心をそう歌った。その東京都心にきのう13年ぶりの大雪警報が出た。街は煙り、列車も運休。こうなると雪不足のソチに分けたいと思う方もいたろうか。

▼そのソチから届いた国際オリンピック委員会会長のスピーチが耳にとまった。開会式で選手たちに「私たちは皆さまの夢をかなえるためにある」と語りかけ、五輪は差別なく多様性を受け入れる祭典だと宣言した。人々を分断する壁を築くのが目的ではないとし、政治家も五輪に習い、対立を対話で解決せよと呼びかけた。

▼観客も国家も、国境を越え人間の限界に挑む選手たちを助け、守り、学ぶ立場にある。しかしそうした本来の姿は忘れられがちだ。コラムニストの小田嶋隆さんは、五輪が世界のトップ選手の技を全員でたたえるための場から、日本人だけを応援する催しに変わってしまったと嘆く。あたかも国対抗の巨大運動会のようだ。

▼日本代表の勝敗が届き始めた。自国の結果ばかりが関心を集め、世界の選手になかなか目が向かない。このままでは、2020年が日本と日本人のためのお祭りになりはしないか。スポーツという横軸でつながる個人が、立場を超えて競う。国も都市も裏方。この理想を追うことで初めて、五輪が本来持つ輝きを取り戻す。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報