漂流者 マック鈴木著 越境を半生、元野球選手の自伝

2014/1/31付
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(三交社・1200円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

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親戚の「テキ屋」を手伝い、小学生にしてイカを焼いては世渡りを知った健康優良児は、時にはめを外し、だが、ありきたりな不良を「考えなしの後追い」と嫌った。

越境を半生としてきた元プロ野球選手、マック鈴木の自伝である。

高校時代にトラブルを起こし、16歳で渡米、マイナーリーグの洗濯係兼練習生に雇われ、4年でメジャー投手へ。故障。帰国。さらにメキシコ、ベネズエラ、台湾、カナダなどの地を「傭兵(ようへい)」のつもりで渡り歩き、いま淡路島に安息を知る。

漂流者に保身の必要はない。いらぬ配慮と無縁ゆえに素直な観察と思考が説得力を持つ。

日米の指導法の違いについての一節など、思い込みの「海外崇拝」から逃れて秀逸だ。日本流の長短はともに「育てる」熱によると看破。ていねいな分、はまれば伸びるし、そうでないと可能性はそがれる。かたや米国式は育てずに育つ膨大な裾野を背景として、ふと自分で「ひらめいた時」の確かさを信じる。

スポーツを通した成長の軌跡とも読める。すなわち、おのれを知り、世界を知り、やがて、おのれへ帰る。人生の順番として正しい。

★★★★

(スポーツライター 藤島大)

[日本経済新聞夕刊2014年1月29日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

漂流者

著者:マック鈴木
出版:三交社
価格:1,260円(税込み)

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