2017年12月11日(月)

「食の安全」を一から築き直せ

2014/1/28付
保存
共有
印刷
その他

 マルハニチロホールディングスのグループ企業、アクリフーズの群馬工場で製造した冷凍食品に農薬が混入された事件で、群馬県警が契約社員としてこの工場で働いていた49歳の男を逮捕した。

 調べに対して、男は「覚えていない」と容疑を否認しているという。犯行の動機や経緯もまだ明確にはなっていない。同じような事件の再発を防ぐためにも、県警は事件が起きた背景にまで踏み込んで捜査を尽くす必要がある。

 男は昨年10月、工場の冷凍食品に農薬のマラチオンを4回にわたり混入した疑いが持たれている。

 逮捕容疑はアクリ社の業務を妨害した偽計業務妨害だが、食品に毒物を混入する行為は、不特定多数の人を無差別に狙う極めて悪質な犯罪である。

 この事件では、「食の安全」に対する会社側の意識の甘さが明らかになった。昨年11月に消費者から「異臭がする」との苦情があってから、自主回収を始めるまでに1カ月半もかかっている。

 記者会見でも、当初は混入された農薬の毒性を低くとらえて公表した。それが直後に厚生労働省の指摘で訂正に追い込まれるなど、不手際が続いた。

 同社の食品で体調不良を訴えた人は約2800人に上る。適切な対応をとっていれば被害を抑えられた可能性もある。混入を許さない製造工程への見直しや監視体制の強化など、安全対策を一から築き直す覚悟が必要だ。設置予定の第三者委員会を活用し、外部の意見も取り入れるべきである。

 回収対象となった冷凍食品のうち、プライベートブランド(PB=自主企画)商品の一部には製造者であるアクリフーズの記載がなかった。現行制度ではPB商品の場合、製造所の固有記号を表示すれば省略できるためだ。

 このためPB商品の回収が必要になったときは、販売者は何が問題の商品かをよりわかりやすく迅速に消費者に伝えるべきだ。食品の安全確保に多面的に取り組まなければならない。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報