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財政再建に禍根残す診療報酬の増額改定

保険医療の公定価格である診療報酬をどの程度上げ下げするか。政府・与党内のドタバタ劇は2年に1度の年末の恒例行事だ。

麻生太郎財務相と田村憲久厚生労働相の折衝を経て、安倍政権は診療報酬を2014年度に0.1%増額すると決めた。増額改定は3回連続。24日に閣議決定する14年度予算案の骨格が固まったが、膨張が著しい医療費への切り込みは不十分だ。財政再建への政権の本気度を疑わざるを得ない。

診療報酬は医療サービスの技術料にあたる診療報酬本体と、医薬品や医療用材料の値段にあたる薬価とに分かれる。薬価について政府は実勢価格の下落を映して1.36%下げると、すんなり決めた。

もめたのは本体だ。本体の改定率は医師、看護師、薬剤師、エックス線技師など保険医療にたずさわる専門職の人件費につながる。日本医師会は増額改定を求め、自民党の厚生族議員を動員した。

14年度は消費税率の引き上げに伴い、設備投資や医療機器の購入にかかる税負担が増える病院などに対し、診療報酬でどう手当てするかが焦点だった。その補填のために麻生、田村両相は薬価を下げた分をそのまま本体に回すことで折り合った。さらに在宅医療の充実などを名目に色をつけた。

国民医療費は診療報酬改定がない年も増え、足元では40兆円の大台を突破している。医療費の膨張は国民と企業の健康保険料・税負担の拡大に直結する。14年度は消費税増税で国民負担が約5兆円増えるのを考えると、診療報酬は減額改定してしかるべきだった。

国民や企業の負担を増やすだけでは医療制度の持続性は保てないし、国の財政は借金漬けから抜け出せない。高齢者が増えるからといって医療費が膨らむのを傍観するのではなく、それを抑える予算編成と医療提供を効率化する制度改革が不可欠である。

首相は11月の経済財政諮問会議で、14年度予算の編成が新たな国民負担につながるのを抑えるよう求めていた。関係者によると、改定率を決める大詰めの段階で、伊吹文明衆院議長が自民党の関係議員会合に出て増額改定を確認するひと幕があったという。

立法府の長としてゆき過ぎた振る舞いだろう。仮に、それで首相の求めがないがしろにされたとすれば、今後に禍根を残す。診療報酬改定はあくまでも首相官邸が主導すべきものである。

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