コルトM1851残月 月村了衛著 憎しみの銃弾、江戸を裂く

2013/12/12付
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(講談社・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

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スリルあふれる冒頭の快感、中盤の哀切、結末へ向けて燃えたぎる怒り、そしてラストはまるで"ボニー&クライド"。月村了衛の時代小説第2弾は、ある人物からコルトM1851を譲り受けた男、残月の郎次を主人公に展開する傑作だ。

まず第一にコルト拳銃が江戸の街で発射されても、何の違和感も感じない、完璧に近い時代小説としての文体。そして、父親に殺されかけた男と、親を殺した女との愛憎半ばする邂逅(かいこう)。さらに、"憎しみのない弾など当たりはしない"と教えられた残月(月を意味する言葉ルナティックは"狂気"の謂(いい)でもある)の郎次は、仕事を終えた後、まるで自分の寿命を数えるように残弾の数を数える。

さらに自分を使い捨てた江戸の黒幕たちの"新しい仕事"は、いまも世界で行われている最も忌むべき犯罪であり、ここで作者の怒りも全開に――。

私は先に"ボニー&クライド"などと書いたが、ラストの大活劇で拳銃をぶっ放したお蓮のいう「お師匠さんがいいからねえ」は、まるで丹下左膳の櫛(くし)巻きお藤のよう。この一巻で月村了衛は、最も注目すべき時代作家となった。腕が違うよ、腕がね――。

★★★★★

(文芸評論家 縄田一男)

[日本経済新聞夕刊2013年12月11日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

コルトM1851残月

著者:月村 了衛
出版:講談社
価格:1,680円(税込み)

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