北朝鮮情勢に注視と警戒を

2013/12/10付
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北朝鮮が現政権ナンバー2の実力者とされた張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長の解任を公表した。対外融和派といわれてきた張氏の失脚がもたらす権力構造の変化と、今後の外交に及ぼす影響をとくに注視していく必要がある。

北朝鮮メディアによると、張氏の解任は8日に開かれた朝鮮労働党中央委員会の政治局拡大会議で決まった。すべての職務から解任するほか、一切の称号を剥奪し、党から除名するという。かなり厳しい処分といえる。

解任の理由は「反党・反革命的な分派行為」だ。党の事業を妨害する背信行為、党内の分派活動、経済面での売国行為とともに、女性問題や麻薬の使用、外貨の浪費なども挙げて非難している。

張氏は故金正日(キム・ジョンイル)総書記の側近で、総書記の実妹の夫でもある。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の義理の叔父に当たり、現政権でも後見役として勢力を伸ばしていた。

今回の解任劇は叔父の影響力を排除し、権力集中をめざす金第1書記の意向との見方が有力だが、外貨稼ぎの利権をめぐって張氏と対立してきた軍部の圧力との説も否定できない。17日の金総書記の二周忌などの公式行事を通じて、早急な分析が欠かせない。

懸念されるのは、今後の北朝鮮情勢の行方だ。張氏は中国ともパイプを持ち、国内では経済特区を含む改革路線を主導してきた。一方でミサイル発射などの挑発行為には否定的だったとされ、対外強硬路線を主張する軍部との確執が強まっていたともいわれる。

北朝鮮は現体制下でも、長距離弾道ミサイルの発射を繰り返し、核実験を実施した。核問題をめぐる6カ国協議の再開のメドが立たないなか、北朝鮮が再び強硬路線に転じ、国際社会への挑発を繰り返す恐れは捨てきれない。

日本政府は米中韓などと連携しつつ、新たな挑発や不測の事態に備えて、北朝鮮への警戒を一層強めていくべきだろう。

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