2019年2月17日(日)

春秋

2013/12/7付
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人には忘れられない日がある。たとえば1994年4月27日。その4年前に27年の獄中生活から解放された75歳のネルソン・マンデラ氏はこの日、全人種による総選挙の投票に出かけた。生まれてはじめての投票を「民主主義の正義の圧倒的勝利だ」と振り返っている。

▼12月5日、マンデラ氏死去の日が忘れられない日になった人も世界中に数え切れないほどいるのだろう。地球上でもっともあつい尊敬を集める人物の一人だったのだから。そしてまた一つ、忘れられない日が日本にはできてしまったのか。そんな自覚は与党にはさらさらなかろうが、特定秘密保護法の成立はそれほど重い。

▼きのうも菅官房長官が言った。「法案の内容について(国民には)まだご理解いただいていないんだろうというふうに思う」「成立後も、1年後の施行までに真摯に説明していけばご理解いただけると思う」。どう考えても成立と説明との順が逆である。ご理解いただけないというシナリオが浮かばぬことが理解できない。

▼安倍首相が事実上決まった昨年の総選挙からまだ1年たっていない。そう考えると、1年という時は決して短くはない。マンデラ氏の95年の生涯を一言で評すれば「不屈」である。到底その足元に及ばぬにしても、これからの1年、理解できないことにはノーと言い続けること。それだって大切な「不屈」に違いなかろう。

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