2019年5月21日(火)

社会保障費に切り込み規律ある予算案を

2013/12/5付
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安倍政権は2014年4月に消費税率を8%に引き上げる。これに伴う同年度の増収額は5兆円程度にとどまる。歳出面は医療・介護サービスや年金給付にあてる社会保障費の伸びが著しく、この増税をもってしても賄いきれない。

15年度に国・自治体財政の基礎収支の赤字を国内総生産比3.2%に縮小させる民主党政権の国際公約を、現政権は引きついだ。14年度予算の編成に際しては社会保障費への切り込みが欠かせない。

14年度は原則2年に1度の診療報酬の改定年度にあたる。保険診療を受けた患者が病院・診療所や調剤薬局に払う窓口負担と、健康保険から病院などに払う医療費を合わせたものが診療報酬だ。

政府は年末の翌年度予算案の編成に合わせて診療報酬の改定率を決めている。14年度の焦点は医師、看護師をはじめとする医療職の人件費などに回る診療報酬本体を増額するかどうかである。

田村憲久厚生労働相は増額改定を求めている。アベノミクスが産業界に人件費を増やすよう要請しているので、医療界の人件費もそれに倣うべきだという理屈だ。しかし、これは道理に合わない。

患者負担を除くと診療報酬は健康保険料、税、政府の借金の3財源で構成する。民需をもり立てて民間の賃金払いを増やすのがアベノミクスの本旨。国民負担を元手とする人件費は別の次元の話だ。

民主党政権が2度にわたって本体を大幅増額したこともあり、病院・診療所の経営はおしなべて良い。厚労省の12年度実態調査によると医療法人が経営する病院は0.8%、個人が経営する診療所は2.2%の増収だった。

大切なのは診療報酬の配分である。急性期対応の病棟を慢性期対応の病棟に転換させるなど、長寿時代に即した医療体制を整えるための配分の工夫こそが、厚労省の使命だ。また病院・診療所の門前に軒を連ねる調剤薬局への診療報酬は抑える必要があるだろう。

前期・後期の高齢者医療費を企業の健保組合などから召し上げるやり方は、経済の競争力を損なう。高齢者の医療費にこそ、税財源をもっと投入すべきである。

社会保障に焦点があたる陰で、ほかの政策経費に規律の緩みがみられる。地方交付税を一律に増やす慣例は打ち止めにすべきだ。文教、公共事業、防衛・海外援助なども不断の切り詰めが大切。オリンピック予算も、例外ではない。

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