2019年9月23日(月)

極東ビジネス 新局面(2)

2013/12/8付
保存
共有
印刷
その他

ロシア極東連邦管区の本部がある内陸のハバロフスク市。アムール川の対岸に中国・黒竜江省がうっすらと見える。古いレンガ造りの建物が並ぶ市街地を歩くと、改装や新築工事が目に付く。中心駅から車で約10分の商業施設の建設現場では、作業員が日本製の灰色のサイディング(外壁材)を壁に張っていた。

ハバロフスク市の商業施設の建設現場で、東邦工業のサイディングが使われていた

「日本の外壁材は頑丈で断熱効果が高い。デザインも良く、施工も簡単で人気だ」。札幌の東邦工業の建材を販売するストロイアクティブ社の担当者、ザトンスキー・アントン氏は話す。東邦工業は道内で40年以上の施工実績があり、積雪寒冷下でも十分な耐久性をもつ。中国や韓国製品と異なり、一部が破損しても同じデザインのもので補修できる点も好評だ。

建物の新改築増

両社は2000年ごろ取引を始め、ウラジオストクやモスクワに販路を拡大。12年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)会場などに約6万5千平方メートル分の外壁材を供給した。「ブランド力が認められ、売り上げは堅調」(東邦工業の加藤勝彦社長)。高層住宅向けの建材販売も検討する。

道内企業の中でも住宅建材関連は早くからサハリンなどに進出。同じく寒さが厳しい真冬の北海道でも快適に過ごせる断熱性や気密性、耐久性、緻密な施工など高い寒冷地技術が現地で評価された。だが急な税制変更などもある上、安価な中韓製品との競合も激しく、取引が定着した企業はごく一部。「着実に利益を出しているのは3割にも満たない」との声も。

転機となったのがAPEC以降の極東ロシアの開発加速。地域経済の活性化で、老朽化した建物の改修や建て替えが増えている。さらに、ソ連崩壊から2割減ったという極東の人口流出に歯止めをかけようと、行政が若年夫婦向けに住宅の建設支援策を開始。道内の住宅・建材メーカーへの追い風となっている。

「住宅だけでなく、道路などインフラ整備に北海道の素晴らしい寒冷地技術を活用したい」。サハリン州のホロシャビン知事は11月21日、北海道大での講演で、積極的な企業進出を呼び掛けた。ラブコールを受ける道庁や北海道経済産業局も、技術展示会を開くなど橋渡しに力を入れてきた。

オフィスに参入

オフィスビルに参入したのは、総合建設業の岩倉建設(札幌市)がユジノサハリンスクで道内やロシア企業などと設立したホッカイドウ・デベロッパーズ・グループ。同市で10月、断熱性と耐震性の高い6階建て高機能ビルを着工した。現地でマンション建設の実績はあるが、サハリンで液化天然ガス(LNG)など資源開発が進むなか、オフィス需要に対応する。

ただサハリン州や沿海地方などでは、オフィスビルや商業施設には海外企業に建設許可が出ず、工法などを指導する技術者を派遣して側面支援する形をとらざるをえない。「直接の受注ではないため利益は多くない。だが技術を州政府に認められることで新たな商機も生まれる」と岩倉建設の担当者は話す。

実際に見ないと信用しないとされるロシア。道内と共通の降雪対策需要を掘り起こそうと、融雪機器のアサヒ特販(札幌市)は10年、ユジノサハリンスクのビルに無償で融雪パネルを設置した。防雪器具のノースプラン(同)も同州トマリ地区に防雪柵を試験的に設置。「未来への投資」(平田勝二郎社長)と柵の資材は無償提供した。

進出を模索する企業からは「需要はあるが、なかなか受注につながらない」との声も漏れる。東邦工業の加藤社長は「ロシアは良くも悪くもコネクション社会。何度も現地に通い、現地で信頼できる人脈をつくることが重要だ」と指摘する。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。