/

サービス業の品質管理をどう立て直すか

日本のサービス業の品質管理はどうなってしまったのか。有名ホテル、大手百貨店、喫茶チェーンなどでは食材を偽った料理を提供し、運送会社は冷やして運ぶべき荷物を常温で輸送し、飲食店やコンビニエンスストアでは店員が食べ物で遊ぶ。信用回復に真剣に取り組んでほしい。

当面の手本は日本の製造業だ。自動車、電機などの各社は戦後、ものづくりの品質管理を徹底し世界の信頼を勝ち取ってきた。鍵は経営者の姿勢だ。品質第一という考えをはっきり打ち出し、現場に足を運び繰り返し語りかけた。

自社工場だけでなく部品会社や系列販売店など取引先にも同じ姿勢で接した。現場の工員からも品質向上や改善の提案を募り、生産活動への参加意識や一体感を高めた。社員や店員が商品に誇りや愛着を持てば、中身を偽ったり、ぞんざいに扱ったりはしない。

正社員が中心だった昔の生産現場と、さまざまな立場の人がいろいろな場所で働く今のサービス業では、全く同じ手法は通じないかもしれない。しかし学ぶべき点は多いはずだ。業績を伸ばす衣料品チェーンなどは、品質管理の手法を製造業から学んでいる。

特に問題が大きいのは食材偽装だ。例えば「地元産」の食材を選ぶ消費者は、地元経済を応援しようと余分にお金を払っている。付加価値の表示が信用できなくなれば財布のヒモもしまる。正しい情報があって初めて、消費者は自身の価値観に沿った買い物ができるのだ。仮に健康被害がなくても、偽装企業の罪は重い。

景品表示法は、実際より著しく優良と消費者に誤認させる表示を禁じている。過去には「地鶏」や「ステーキ」「霜降り」などの表記を巡り、消費者庁から企業に措置命令が出たケースがあった。これらの教訓が生かされていれば、虚偽表示がこれほど広がることはなかったのではないか。

とはいえ、食材の表記方法について過剰な規制が増えれば、ビジネスの自由度をそぐ面も出てこよう。まず経営者自身の責任と努力で体質を正すのが筋だろう。

流通、飲食、宅配便など、生活に近いサービス産業は、雇用や海外市場開拓など今後の経済成長の柱として期待されている。足元の国内市場で信用が揺らげば、当の企業が苦境に立たされるだけでなく、日本という国のブランドも損なう。経営者は自覚してほしい。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン