2019年2月24日(日)

春秋

2013/10/30付
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はやり歌に多い言葉といえば、昔ながらの歌謡曲であれ近年のJポップであれ基本はそんなに変わるまい。恋、愛、心、夢、涙、別れ……。それに秘密というのもよく出てくる言葉だ。スマートフォンの歌詞検索アプリで調べたら「秘密」を含む曲が2955件あった。

▼人の世に、しのびやかな物語が満ちているのを歌は映すのだろう。けれど国家の抱えた秘密となると剣呑(けんのん)すぎて詞になりそうもない。開会中の臨時国会には特定秘密保護法案が提出された。各省の大臣が指定する「特定秘密」の基準や範囲をはじめ、この法案は曖昧なことだらけである。ここでは何が秘密かも秘密なのだ。

▼法案には、国民の「知る権利」や取材の自由に配慮する条文が盛り込まれた。しかし、しょせん努力規定だから暴走の歯止めになるかどうかわからない。などと心配していたら、やはり困った発言が飛びだした。自民党の小池百合子氏が、メディアに出る首相の動静記事について「知る権利を超えている」と述べたそうだ。

▼首相が昨夜は誰と、どこで会ったか。総理大臣は公人中の公人だから、そういう情報だって公のものなのだ。さすがに官房長官は「動静記事は特定秘密の要件にはあたらない」と語ったが、くだんの努力規定の脆(もろ)さを示してあまりある。やはり危うい法案ではないか。ゆうべのことはもう聞かないで――そうはいかない。

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