2019年7月16日(火)

ダ・ヴィンチ封印《タヴォラ・ドーリア》の500年 秋山敏郎著 俗世に生きる画聖の姿浮かぶ

2013/10/24付
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(論創社・2000円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

(論創社・2000円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

たいへんおもしろく、またそそられる本である。ここしばらく、これほど夢中になって読みとおせたものはない。

著者は美術の取引きを仕事としてきた。ダ・ヴィンチがてがけたという「タヴォラ・ドーリア」も、あつかったことがある。だが、この作品は、ながらくダ・ヴィンチの真作であることを、ふせられてきた。なぜか。そこへわけいる著者の分析は、たいへんするどい。ムソリーニのみみっちい思惑。美術史家たちのせちがらい打算……。業界の裏面を知る著者だから書けたのだと思う。

「タヴォラ・ドーリア」をえがくダ・ヴィンチには、政治的な思惑があった。マキアヴェッリやチェーザレ・ボルジアとわかちあった志が、そこにはひそんでいる。これをほりおこしていく手さばきにも、感心した。ダ・ヴィンチを画聖のようにあつかう美術史家は、ここまでふみこめない。そのK点をのりこえ、著者は俗世に生きるダ・ヴィンチ像を、うかびあがらせている。

ざんねんながら、ここで論じられたことの妥当性を見きわめる力は、私にない。しかし、著者の人生がかけられた渾身(こんしん)の一冊であることは、うけあえる。

★★★★★

(風俗史家 井上章一)

[日本経済新聞夕刊2013年10月23日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

ダ・ヴィンチ封印「タヴォラ・ドーリア」の500年

著者:秋山 敏郎
出版:論創社
価格:2,100円(税込み)

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