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青く澄んだ「北京秋天」はどこへいった

どこまでも高く青く澄んだ空。洋画家の梅原龍三郎が戦前に発表した「北京秋天」という絵は、さわやかな北京の秋空を鮮やかに描き出している。

ところがこの名作のイメージとかけ離れた日が、最近は目立つ。大気汚染のせいだ。4日には、悪名高い微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が1立方メートルあたり389マイクログラムと、基準値(同75マイクログラム)の5倍を記録した。

北京だけではない。黒竜江省ハルビンでは一昨日、PM2.5が同1000マイクログラムを超え、正確な測定が不能なレベルに達した。

世界保健機関(WHO)傘下の専門組織、国際がん研究機関(IARC)は先週、大気汚染の発がん性を初めて認定した。特に中国をはじめ途上国でPM2.5などの被害が懸念されると警告した。邦人を含め、北京などで暮らす人々の健康が心配だ。

中国の大気汚染が深刻になったのは、共産党政権が経済成長を最優先して環境対策を後回しにしてきたからだ。ここに来てようやく、本格的な対策に乗り出す構えを見せている。

政府が9月中旬に発表した「大気汚染防止行動計画」は、大気の浄化や汚染の抑制などに今後5年間で1兆7500億元(約27兆円)の投資を見込む。

これを受け北京市は、自動車保有台数の抑制や鉄道の整備、石炭に替わるクリーンエネルギーの導入などに取り組む行動計画を明らかにした。2017年までに1兆元の投資を見込む。

北京市はさらに、東京の大気の改善に成功した経験を学ぶため環境の専門家を今月末に都に派遣する予定だ。尖閣問題で日中関係は冷え込んでいるだけに、北京市の危機感がうかがえよう。

中国の大気汚染の影響は東シナ海を越えて日本にも及んでいる。日本の国益に直結する課題として、東京都だけでなく日本政府としても中国の環境改善に協力していくべきだろう。中国側に対策の加速を促していく必要もある。

PM2.5については日本の観測態勢や国内の発生源対策も十分ではない。そもそもPM2.5の危険性にいち早く注目したのは米国で、日本の対応も鈍かった。

政治的な対立や感情的なわだかまりがあるにしても、中国や韓国など周辺国と手を携えることで、世界の中でも先進的な環境対策を進めていきたい。

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