2018年10月19日(金)

対立軸を示せない国会論戦

2013/10/17付
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安倍晋三首相には楽な論戦だったろう。国会で首相の所信表明演説への与野党の代表質問が始まったが、政策課題を一通りなぞっただけの平板な質疑だった。

衆参のねじれが解消され、政府・与党が内輪もめしなければ、政府提出法案が葬られるおそれはほぼなくなった。政策決定への世の中の関心は国会ではなく、政権内の事前調整へと向いている。

立法府が消化試合のようなやりとりしかできないのでは存在意義が薄れてしまう。国民が抱く疑問や懸念をわかりやすく提示し、それを解きほぐす。こうした機能をきちんと発揮してもらいたい。

退屈な論戦になった責任は野党第1党の民主党にある。

海江田万里代表はまず、東京電力福島第1原子力発電所での汚染水漏れ問題を取り上げたが、自身は東日本大震災当時の経産相だ。安倍政権の対応を不十分と批判する一方、「廃炉に向けた作業は民主党も最大限の協力を続ける」と語らざるを得なかった。

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に関しては、安倍政権内から関税の一部をなくしてもよいとの趣旨の発言が出ていることを指摘し、「聖域なき関税撤廃を前提としない」との自民党の選挙公約に反するとただした。

だが、民主党はTPP参加に賛成なのか反対なのかには相変わらず触れずじまい。迫力に欠けた。

海江田氏は本会議後、「完全野党か責任野党か、という分け方はしない」と話したが、このまま与党との対立軸を示せなければ、党の再生はおぼつかない。

政権交代が日常茶飯事の欧米諸国での与野党の戦い方などを改めて研究して出直すべきだ。

日本維新の会の石原慎太郎共同代表は占領下でできた現憲法を破棄すべきだとの持論を展開した。

首相は挑発に乗らず、「最終的には帝国議会で議決され、有効と考える」と従来の政府見解を崩さなかった。「成長戦略実行国会」と銘打った以上、他の課題で波風は立てない。当然の判断である。

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