量的緩和縮小の手腕問われるイエレン氏

2013/10/11付
保存
共有
印刷
その他

オバマ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)のイエレン副議長を次期議長に指名した。上院が承認すれば、2014年2月に史上初の女性議長が誕生する。

リーマン・ショックに端を発した異例の金融緩和を修正するのが課題だ。米国を含む世界の経済や市場を混乱させず、量的金融緩和を縮小する手腕が問われる。

06年2月に就任したバーナンキ現議長は、金融危機と景気低迷への対応に追われてきた。事実上のゼロ金利政策や3度にわたる量的緩和などを通じ、米経済の回復に貢献したのは間違いない。

学者出身のイエレン氏は一連の対応に中心的な役割を果たしてきた。雇用の安定を重視するバーナンキ氏の路線を継承し、金融政策の継続性を保つ公算が大きく、市場もおおむね好感している。

大統領経済諮問委員長やサンフランシスコ連銀総裁などを歴任し、政策の実務や組織運営の経験も積んできた。有事の危機管理能力は未知数との評もあるが、妥当な人選といってもいいだろう。

だが次期議長の政策運営は容易ではない。米経済の回復基盤が固まるにつれ、FRBが量的緩和の修正に動くのは自然だ。バーナンキ氏が証券の購入縮小に着手したとしても、購入停止までの作業はイエレン氏に委ねられる。

量的緩和の縮小で新興国からの資金流出に拍車がかかり、世界の経済や市場が動揺する懸念はぬぐえない。米国の財政運営をめぐる混乱が自国経済の足を引っ張る恐れもある。こうしたリスクにも細心の注意を払いながら、金融政策の正常化を進める手腕が要る。

イエレン氏に期待したいのは市場との円滑な対話だ。FRBの判断や意図を明確に伝え、市場に十分に織り込ませるコミュニケーション能力が求められよう。

量的緩和の停止にこぎ着けたとしても、保有資産の圧縮やゼロ金利の解除までには長い時間がかかる。政策運営の透明性を高めるとともに、経済情勢の変化に応じた柔軟な対応を心がけてほしい。

米国では与党・民主党と野党・共和党が不毛な政治対立を繰り返し、政府の経済政策が機能不全の状態に陥っている。景気回復の手段を金融緩和に頼り、財政健全化の具体策も打ち出せない。

FRB議長はあらゆる経済問題への見解を求められる。イエレン氏も必要な成長戦略や財政再建策を政府・議会に注文すべきだ。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]