2019年1月19日(土)

夏を赦す 長谷川晶一著 消えた甲子園の夢、それから…

2013/10/11付
保存
共有
印刷
その他

(廣済堂出版・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

(廣済堂出版・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

1学年下の部員の不祥事により対外試合辞退。高校3年の7月、甲子園予選出場の最後の機会は突然に断たれる。元日本ハムの好投手にして明朗な口調の解説者でタレント、岩本勉の切なく苦い青春の幕切れである。

あれから24年、歳月の緩衝を得て本書は世に出た。大阪・阪南大高校の仲間たちのあの時とその後を気鋭のライターが追えば、そこには人生の厳しさと確かさ、無慈悲と慈悲が絡まるように浮かび上がった。

岩本は、在日韓国人の豪気な父の期待に応えながら、自身の成功に「後ろめたさ」を覚えてきた。仲間の進路には「公式戦の実績なし」の不利がつきまとった。多くは野球を離れ、食品用機器修理、整体師、鶏卵業界などおのおのの道を歩む。遠い夏への思いにも、それぞれの違いはあった。

書名に「赦(ゆる)す」とある。そこにいたる心の動きこそは、そのまま元部員たちの社会における奮闘の軌跡と重なる。読後感の心地よさの理由だ。

ある競技のある出来事の奥に市井の普遍を知らされる。スポーツ書らしい力だろう。無名の友を愛し続ける有名(岩本)の言動はまぶしい。帯の小さな写真に泣けた。

★★★★

(スポーツライター 藤島大)

[日本経済新聞夕刊2013年10月9日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

夏を赦す

著者:長谷川 晶一
出版:廣済堂出版
価格:1,680円(税込み)

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報