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春秋

「成人力」とは何か。2年ほど前のシンポジウムで識者が話した。作家の浅田次郎さんは「この人は人物だな」と思わせるような人が持つ人間としての成熟度だと言い、近藤誠一前文化庁長官は「数字では測れない、人が持つ総合的な魅力や知恵を連想する」と言った。

▼少し抽象的だが、2人の答えに納得する人は多いだろう。しかし、経済協力開発機構(OECD)が初めて行った「国際成人力調査」は、2人のいう「成人力」を知るためのものではない。まずは、原題を「○×力」という賞味期限が切れかかった造語に翻訳したお役所のセンスが悪い、と小言を呈したうえでの話である。

▼では何のための調査かといえば、国際化、情報化したいまの時代に仕事や日常生活で求められるスキルを測って、各国の成績を比べるものだという。「スキル」とは単純作業とは異なる技術、ワザのような意味だろう。浮かんでくるのは、人間の市場価値とか人材としての国際競争力とか、実利的なイメージばかりである。

▼結果はざっくりいえば24カ国中で日本がトップ。「これでまた日本人が自信を失う」という心配は杞憂(きゆう)に終わって、まずはめでたしと言おう。なかんずく、読解力など調べた3分野いずれも、日本で一番成績がよかったのは20代後半である。この調査のいう「成人力」とは、スポーツ選手の能力に似ているのかもしれない。

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