2019年2月20日(水)

持続的に賃金を上げていく道を考えよう

2013/9/21付
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政府と経営者、労働界の代表が景気回復への課題を話し合う政労使協議が始まった。安倍晋三首相はデフレ脱却には企業収益が家計に及んで所得が増えることが欠かせないとして、経営側に賃金引き上げへの協力を求めた。

デフレ脱却へ賃金上昇が必要との認識はその通りだろう。ただ大事なのは、それが一過性に終わらず、持続的に所得が増えていくことだ。それには企業が生産性や成長力を高めなくてはならない。規制改革など企業が活動しやすい環境整備こそ政府の役割だ。

政労使協議は首相や経団連の米倉弘昌会長、連合の古賀伸明会長らが参加し、20日に初会合が開かれた。賃金増を伴う経済の好循環をつくっていくための意見交換の場とするという。

2012年の1人あたりの現金給与総額はピークの1997年に比べ1割以上減っている。賃金をいかに増やしていくかが大きな課題であることは確かだ。

押さえなければならないのは、賃金増は企業が競争力のある製品やサービスを生みだすことが前提になり、民間企業自身で実現するものという点だ。政府は賃金を増やす企業の法人減税拡充も考えているが、企業の付加価値を生む力が高まり収益が伸びなければ、安定的な賃金増は見込めない。

肝心なのは企業の行動だ。新しいビジネスモデルの創造など競争力強化へ手を打ってもらいたい。思い切ったM&A(合併・買収)も求められる。3月期決算の上場企業の手元資金は3月末で過去最高の66兆円に積み上がった。成長への投資に踏み出すときだ。

経営者が企業家精神を発揮しやすくなるよう政府はやるべきことが多い。エネルギーや医療、農業分野などは規制の大胆な見直しが必要だ。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉では企業の海外直接投資などを促す自由度の高い協定づくりをめざしてほしい。

賃金引き上げはその原資が企業によって異なり、各企業が労使の話し合いで決めている。政労使協議で賃金水準をめぐる論議をするのは現実的でない。

政労使協議に求めたいのは職業訓練の充実など、成長分野へ人材が移りやすくしたり、職のない若者の就業を促したりするための議論だ。人が力をつけ、発揮できる社会にするにはどうしたらいいか。それを考え実行することが賃金を持続的に増やす確かな道だ。

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