高齢者医療に消費税財源を

2013/9/19付
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野田政権のときに民主党が自公両党と合意した社会保障・税一体改革は、消費税増税で医療や年金のほころびをつくろい、制度の持続性を高めるのを目的にした。

2014年4月の最初の税率上げまで半年あまりに迫ったが、安倍政権はこと医療制度について確たる方針を示していない。喫緊の課題は増大する高齢者医療の財源確保だ。増税分の一部をあて、企業の健康保険組合からの保険料召し上げに歯止めをかけるべきだ。

08年に自公政権が導入した後期高齢者医療制度は、75歳以上への給付費の構成を(1)国の借金を含めた税財源5割(2)支援金名目で健保組合などに拠出させる保険料4割(3)高齢者本人が払う保険料1割――とするのを原則にした。

問題は(2)だ。全1431健保組合の12年度決算によると、後期高齢者への支援金は計1兆5千億円に達した。65~74歳の前期高齢者が使う医療費への納付金などを含めると、じつに保険料収入の46%が召し上げられている。

各健保組合は加入者と家族に病気予防を指南したり、安いジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用を促したりして医療費の節約につとめている。だが収入の半分近くを有無を言わさず拠出させられる現状では、努力を重ねても健保財政は苦しさを増すばかりだ。

現役世代にくらべ罹患(りかん)率が高い後期高齢者の医療費を保険原理で賄うのには限界がある。単純にいえば、保険料を払う人は多く、保険金をもらう人が少ないのが保険原理が有効に機能する条件だからだ。だからこそ税財源の投入に意味がある。

先月解散した政府の社会保障制度改革国民会議は、健保組合からの召し上げをさらに増やすよう政権に求めた。厚生労働省はそのための法案を15年に国会に出す。

健保組合の存続が危うい。政権は消費税増税の目的を思い起こすべきだ。国民会議が打ち出した病床再編名目の基金を介して増税分を民間病院にばらまく案は、真っ先に見直すべき対象になろう。

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