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政と源 三浦しをん著

年を取るのも悪くない?

国政と源二郎は幼なじみだ。ずっと同じ町内に住んでいるが、生き方も考え方もまるで異なる。たとえば国政は大学を出て、銀行に入り、親にすすめられて見合い結婚し、娘が2人いる。対して源二郎は小学校もろくに卒業せず、子ども時分にかんざし職人に弟子入りし、大騒ぎして結婚した妻が40代で亡くなってからは、いまでは町のすべてのスナックで「源ちゃーん」と声をかけられ、鼻の下を伸ばしている。ちなみに源二郎に子どもはいない。2人とも73歳である。

ところで最近、国政は少々面白くない。なぜなら、国政の妻は数年前に家を出ていき、長女一家と暮らしているからだ。妻も娘も孫も、国政のところには顔を出さないからだ。対して源二郎は押しかけ弟子の徹平が結婚することになり、その相手も源二郎の家に遊びにきて一緒に飯を喰(く)っていたりする。それが楽しそうで面白くない。

ここで描かれるのは、このようにソリは合わないけれど仲のいい、幼なじみのじじいコンビの日々だが、これを読むと、友さえいれば、年を取ることはそんなに悪いことでもない、という気になってくる。

★★★★

(文芸評論家 北上次郎)

[日本経済新聞夕刊2013年9月11日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

政と源

著者:三浦 しをん
出版:集英社
価格:1,470円(税込み)

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