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エピゲノムと生命 太田邦史著

DNA情報が同じでも…

エピゲノムは「DNAだけでは決まらない新しい遺伝学」である。「DNAの情報(塩基配列)は変わらないのに、細胞の性質が変化し、記憶・継承される」概念を指す。

よく、DNAの要因が大きいのか、それとも、環境要因が効いているのか、という論争がある。だが、(ある意味、)その中間にあるエピゲノムこそが、きわめて重要な役割を担っている。

本書は、いきなり光源氏の服装のエピソードから始まる。なんだこりゃ、と思って読み進めると、「服を着た」DNAの話へとつながり、エピゲノムの巧(うま)い導入だったことがわかる。

本書のエピゲノムの説明は丁寧だが、門外漢には、少々、難しい部分もある。著者は、それも先刻承知のようで、随所に楽しいコラム風の話題が挟まれる。たとえば、DNA情報が同じでも、猫の毛並みが変わってくる話。あるいは、女性の8人に1人が「スーパー色覚」を持っていて、通常は100万色しか識別できないところ、なんと1億色も識別できてしまう話など、読者を飽きさせない。

われわれの多くが抱いている、古いDNAのイメージが根底から覆される。

★★★★★

(サイエンス作家 竹内薫)

[日本経済新聞夕刊2013年9月11日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

エピゲノムと生命 (ブルーバックス)

著者:太田 邦史
出版:講談社
価格:1,029円(税込み)

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