2019年1月23日(水)

柔道界にまっとうな常識を

2013/8/23付
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全日本柔道連盟の会長に宗岡正二・新日鉄住金会長兼最高経営責任者が就任し、新体制がスタートした。ふつうの常識が通用するまっとうな組織に生まれ変わらせるために、ひいては魅力ある柔道のために、粉骨砕身を期待する。

ことし1月以降明るみに出た不祥事の数々は、目にあまるものがあった。女子の日本代表選手への暴力行為は、監督をかばってうやむやに済まそうとした。選手強化のための助成金を食事会などに流用する慣行を、組織ぐるみで長く温存した。上村春樹前会長は辞意を示したり翻意したりしながら、ずるずるとその座に居座った。

今回の体制刷新は組織改革を求める内閣府の勧告を受けた結果であり、自浄能力の無さをさらけ出すことにもなった。

宗岡氏は経済人だが東大柔道部OBであり、専務理事の近石康宏・トヨタ自動車顧問(元大阪府警本部長)は柔道部の後輩だ。スーパースターだった山下泰裕副会長を含めた3人が新体制の中心になる。ぜひ、しがらみ抜きに柔道界の信頼回復に取り組んでほしい。

新体制に悠長に構えている時間はない。不祥事を起こさないために組織の何をどう変えるのか。6000万円の返還命令が出ている助成金の不正受給問題はどう決着させるのか。外に向かったこまめな分かりやすい説明が欠かせない。改革にあたって、身内への「物わかりのよさ」は不要である。

外から理解しにくいのは全柔連と講道館の関係だ。同じ公益財団法人でも、全柔連は選手強化や指導者の育成、大会開催などを行い、講道館の事業は普及や段位認定が中心だ。全柔連が競技団体なのに対し、講道館には絶対的な力を持つ家元の性格がある。

ただ、全柔連の事務所は講道館の中にあり、2つの組織は切っても切れない。改革も双方の努力が相まって初めて実のあるものになろう。両者のトップを兼ねていた上村氏は講道館の館長は続けるという。柔道界の旧弊をそれで断ち切れるだろうか。疑問は残る。

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