2019年9月16日(月)

国が前に出て汚染水漏れ事故の収拾急げ

2013/8/23付
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東京電力・福島第1原子力発電所の敷地内にあるタンクから、300トンの汚染水が漏れる事故が起きた。原子力規制委員会は国際的な事故尺度「レベル3(重大な異常事象)」に当たるとし、東電は汚染水が外洋に流れ出た可能性があると認めた。

大量の汚染水漏れは、福島原発事故がまだ続いていることを示した。憂慮すべき事態である。東電の対応が後手に回り、情報開示の混乱も問題を深刻化させた。国がもっと前に出て事態の収拾と再発防止にあたるべきだ。

福島原発では山側から海へ日量1千トンの地下水が流れている。うち約400トンが原子炉建屋に流入し、高濃度の放射性物質で汚染される。これを約1千基のタンクに貯蔵しているが、その1つから大量の汚染水が漏れた。

想定外の事故ではない。日々増える汚染水をためるため、タンクの多くが急ごしらえだ。事故が起きたタンクも鋼製の胴体をボルトで止め、溶接を省いている。汚染水漏れは当然予期すべきで、なぜ大量に漏れ、対応が遅れたか、規制委は原因究明を急いでほしい。

再発防止へすぐに手を打つべきは、漏れたタンクと同型の約350基の監視・点検だ。汚染水漏れは過去にも4回あり、最大でも10リットルの段階で見つけて拡大を止めた。巡回要員を増やして監視を強め、タンクごとに水位計を付けて検知すれば、大量の漏れは回避できる。規制委や関係省庁が連携し、対策を指揮する体制が要る。

敷地内にこれからタンクを増設する余地は乏しい。東電は汚染水から放射性物質を除去する装置を稼働させ、頑丈な溶接式タンクに建て替えて汚染水を移す計画だが、これらもできる限り早く着手すべきだ。

これらの対策に必要な資金や人員を東電が確保できないのであれば、国が支援するのはやむを得ない。高濃度の汚染水が海に流出しているとなると、日本の国際的な信用にも悪影響を及ぼしかねない。政府は来年度予算で汚染水の流出を防ぐ遮水壁づくりを計画しているが、対策は急を要する。

東電が実質的に国有化されたとはいえ、事故対策にやみくもに国費を投じることには、批判もあるだろう。事故当事者として東電の責任を明確にしたうえで、原子力損害賠償支援機構を通じた東電支援のあり方自体、見直しが避けられない。

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