電力の地域独占崩す一歩に

2013/8/8付
保存
共有
印刷
その他

中部電力が三菱商事の電力事業子会社であるダイヤモンドパワー(東京・中央)を買収し、10月から首都圏の工場やオフィスビルに電力を販売する。

既存の電力会社がほかの電力会社の営業区域で本格的に電力販売に乗り出すのは初めてだ。事実上の地域独占を崩し、電力会社間の競争を促す一歩と評価したい。

ダイヤモンドパワーは企業が持つ自家発電設備などから調達した電力を首都圏と中部圏で販売する新電力だ。中部電は買収で販売先を引き継ぎ、自前の石炭火力発電所も三菱商事や日本製紙と静岡県富士市に新たに建設する。

現在の制度でも工場やオフィスビルなどの大口需要家には、電力会社が自社の営業区域を越えて供給できる。しかし、実績は九州電力が中国電力の区域内にある商業施設に送る1件にとどまる。

越境供給が進まないのは電力会社が後ろ向きのためと見られても仕方ない。互いの営業区域は侵さず、地域独占を守ろうとする自己規制が働いてきたのではないか。

風穴をあけるのが今回の中部電の動きだ。国内3位の電力会社が最大の電力市場である首都圏に参入する意義は大きい。

政府は今後、電気事業法を改正し、3段階で電力市場の改革を進めていく方針だ。今は地域の電力会社からしか買えない家庭や小規模店舗向けを含め、2016年には電力小売りを全面自由化する。

自由化を成功に導くには多様な事業者が参入し、料金やサービスを競う必要がある。そのために新規事業者が育たなければならないのはもちろんだが、同時に電力会社同士の競争が重要だ。

新電力に比べ供給力がはるかに大きな電力会社が互いに競わないと、自由化しても既存の電力会社による事実上の独占が続く、「規制なき独占」に陥りかねない。

電力会社が競争に踏み出すことが消費者の利益になり、自らの成長力を高めることにもなる。中部電の判断が電力会社間の競争の呼び水となることを期待したい。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]