韓国の元徴用工判決を憂う

2013/7/31付
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韓国の司法は国家間で締結した条約や協定の重みを、どうとらえているのだろうか。

釜山高裁が三菱重工業に対し、戦時中に日本に強制徴用された韓国人への損害賠償の支払いを命じた。元徴用工が新日鉄住金を相手取って起こした訴訟でも、ソウル高裁が同様の判決を言い渡している。それに続くものだ。

原告側は日本で起こした裁判では敗訴が確定し、韓国でも一、二審でいったんは敗訴していた。

今回はいずれも差し戻し控訴審だ。判決が覆ったのは、韓国の最高裁が昨年、日本企業に対する個人の賠償請求権は「消滅していない」との判断を示したためだ。

しかし、そもそも日韓両国は1965年の国交正常化の際に請求権・経済協力協定を結んでいる。日本政府は無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力を実施し、それによって請求権問題は「完全かつ最終的」に解決されたはずである。

韓国政府も元徴用工の賠償について、対日請求権は認められないとの認識を共有してきた。韓国の司法の判断は極めて遺憾で、不当な判決としか言いようがない。

国家間で解決済みの問題について、日本の個別企業の責任が問われるようでは、「安心して韓国とビジネスができない」という声が上がりかねない。

新日鉄住金は上告し、三菱重工も上告する構えだが、仮に最高裁で賠償命令が確定した場合、一企業として取り得る対抗措置は限られる。判決を機に新たな提訴が相次ぐ恐れもある。日本政府は個別企業に対応を任せきりにせず、前面に立って韓国政府に善処を求めることも必要ではないか。

韓国では日韓の政府や関係企業が資金を出して財団をつくり、元徴用工を支援する構想も浮上しているという。だが、元徴用工らへの賠償については本来、韓国政府が対処するのが筋である。

日韓はただでさえ、歴史認識などをめぐって冷え込んでいる。一連の判決は関係をさらにこじらせかねず、憂慮せざるを得ない。

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