2019年9月19日(木)

春秋

2013/7/15付
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35歳の一人息子。公務員で無遅刻無欠勤の記録を更新中。机の上は常に整頓され、仕事はノーミス。昼食は自宅で母親の手料理。酒は飲まずたばこは吸わない。そして彼女いない歴35年。まじめで家庭的といえば聞こえはいいが、身を固める気があるようには見えない。

▼こんな男の日常で始まる映画「箱入り息子の恋」では、親の代理見合いが物語を起動する。草食系のきわみのようなわが子に業を煮やした両親が、その写真や身上書を手に縁談を求めて出かけるのだ。これを機に主人公は生まれて初めての恋に落ちる。草食系を脱するどころか、暴走するような勢いで恋を追うことになる。

▼代理見合いと呼ばれる仕組みが世に出たのは10年以上も前のこと。初めて耳にしたときは違和感も覚えたが、映画をみてどこか懐かしいような気分になった。本人たちが知り合うより前に、まず親たちが知り合う。敗戦より前の日本なら、さほど珍しくなかったらしい。親の一存で連れ合いが決まることさえあったという。

▼もちろん、戦前と違って今では、本人たちがその気にならなければ最終的にまとまらない。これは戦後日本の健全なところだろう。それでも親が子を思う気持ちは昔と大して変わっていないのではないか。代理見合いが広がってきたことに、そう感じる。暑い夏は恋の季節。代理見合いでも何でも、出会いは多い方がいい。

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