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スノーデン事件が映す情報戦の危うさ

国家による個人情報の収集はテロや凶悪犯罪を防ぐ手がかりになる一方で、個人のプライバシーを損なう危険をはらむ。両者をどう両立させたらよいのか。

こんな問いを各国に突きつける事件が起き、波紋を広げている。一人の米国青年が米国家安全保障局(NSA)による情報収集活動を暴露し、機密を漏らした容疑で米政府から追われている騒ぎだ。

青年は、米中央情報局(CIA)のスノーデン元職員。亡命先を求め、モスクワの空港にとどまっているもようだ。

スノーデン元職員がまず暴露したのが、NSAによる大がかりな個人情報の収集だ。NSAはテロ対策を理由に、通信やネットの検索履歴など膨大な情報を集めており、電話会社にも1日当たり数百万件の記録提出を求めたという。

2001年の米同時テロ後、米国ではテロ対策を目的にした盗聴やネットの検閲を、政府に認める法律が成立した。

「数多くのテロ計画を阻むのに役立った」。今回、明らかになった個人情報の収集についてNSAの首脳がこう正当化できるのも、合法の範囲内と考えるからだ。

だが、NSAの情報収集が米国の法律上、合法であり、テロ対策に役立つとしても、個人のプライバシーを無制限に侵してもよいという話にはならないだろう。しかも監視対象には、米国外に住む多くの外国人が含まれている。

政府によるサイバー空間や通信の監視をどこまで認めるか。この問いは、日本にとってもひとごとではない。ネットを使った犯罪が増えるなか、避けて通れない問題になりつつあるからだ。

スノーデン元職員はこのほか、NSAによる他国の盗聴や通信傍受の実態も暴露した。彼の情報によると、NSAは中国や香港など、世界中のコンピューターシステムに侵入している。さらに日本やフランス、欧州連合(EU)も含めた、米国内の38の大使館や代表部も盗聴しているという。これには欧州が反発し、日本も事実関係の確認を求めている。

経済や通商の分野では、同盟国や友好国も競争の相手であり、盗聴の標的になり得る。1990年代の日米自動車交渉では、米政府が日本側を盗聴していたと報道され、騒ぎになった。こんな経緯も踏まえ、日本政府はもちろん、日本企業も情報の保全が万全かどうか、改めて精査してほしい。

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