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原発の安全審査は厳格かつ効率的に

原子力発電所の新規制基準が施行され、関西、北海道など4電力会社が5原発10基について新基準に基づく安全審査を申請した。

2年前、当時の菅直人政権が「ストレステスト」と呼ぶ安全検査を提案し、政治的な判断から国内のほとんどの原発の運転を止めた。新基準の施行で、原発の安全審査は福島事故直後の緊急措置的な状態から正常化する。

同時に、福島の教訓を踏まえて審査は厳格化する。炉心溶融など深刻な事故が現実に起きうるとの前提に立ち、重大事故への対策を法的に義務付けた。活断層などのリスクも安全重視の立場から厳しく見積もる。

新基準の下で安全対策を強めても採算が合わない原発は廃炉に追い込まれる可能性がある。原発を安全と経済性の両面から選別する時代を迎えたといえる。

原子力規制委員会には厳格かつ効率的な審査を求めたい。見落としがない慎重な審査が必要だ。ミスで信頼を損ねては元も子もない。ただ人員配置の工夫などで作業の効率化との両立は可能なはずだ。運転の可否についてできるだけ早く判断を示すのが望ましい。再稼働の遅れは電力会社にとどまらず日本経済にとっても重荷だ。

電力会社の側からは「やるべきことはやった」との声が漏れる。しかし規制基準は最低ラインであることを肝に銘じるべきだ。

関西電力の大飯原発3、4号機の運転継続に関連して、規制委は「対策を小出しに提案して最低線を探ろうとするかのような姿勢」だと関電を批判した。基準を満たせば事足れりとする考えがいまだに電力会社に垣間見えるのは極めて残念だ。そうした言動を続けていては信頼回復はありえない。

柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を目指す東京電力は安全審査を申請したいと新潟県に理解を求めた。泉田裕彦知事は拒絶した。

東電は国や金融機関の支援を受けている。「2014年3月期に黒字化」の目標を果たすために原発を再稼働したいという背に腹はかえられない事情がある。だが、もっとていねいな話し合いの進め方があるのではないか。

他電力にとっても地元の理解は重い課題だ。周辺住民の避難方法などを定めた実効性ある防災計画の作成が、地元の理解を得て運転を再開するには不可欠である。電力会社だけに任せず、政府が前に出て調整にあたるべき仕事だ。

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