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本丸の法人税率の引き下げを忘れるな

安倍政権の成長戦略に沿った法人税減税の検討が本格化する。生産設備の更新や事業の再編に動く企業の税負担を軽減するもので、8月中にも骨格を固める。

日本経済を本格的に再生するには、企業部門の新陳代謝を促す必要がある。その後押しをするのはいいが、近視眼的な政策減税に終わってしまうのが心配だ。

成長戦略は今後3年間を「集中投資促進期間」と位置づけた。設備投資を年63兆円から70兆円に増やす計画で、これを達成する投資減税が税制措置の目玉だ。

設備の廃棄で損失が生じた場合、前年度に納めた法人税から還付を受けられるようにする。工場の建設や機械の導入に際しては、減価償却費を一括して損金に算入できるようにする――。そんな時限措置が浮上しているという。

一定の効果は見込めるだろうが、懸念も残る。一時的なカンフル剤にとどまる可能性があるうえに、その恩恵も投資規模の大きい重厚長大産業に偏りがちだ。

安倍政権は2013年度の税制改正で、設備投資や研究開発、雇用、給与を増やす企業の法人税減税を並べた。これらの効果を十分に検証しないまま、新たな政策減税で市場の期待をつなごうとしているのが実情ではないか。

期待したいのは国税と地方税を合わせた法人実効税率の引き下げだ。日本の税率は12年度に40%強から35%強(復興増税を含めると12~14年度は約38%)に下がったものの、国際標準といわれる25~30%よりもまだ高い。

「7割以上の赤字企業が法人税を支払っていないのに、実効税率を引き下げても経済的な効果は乏しい」と政府はいう。だが幅広い国内企業に持続的な恩恵が及び、海外企業を呼び込む動因にもなることを忘れてはならない。

1%の実効税率引き下げは国と地方で3000億~4000億円の減収につながる。その財源を手当てするのは容易ではない。しかし法人税の課税ベースの拡大やほかの税目の増税と合わせて実施してきたドイツや英国などに学ぶこともできるのではないか。

日本にも役割を終えた租税特別措置を縮減する余地がある。国だけでなく地方の法人課税も軽減するため、固定資産税などの負担増を提案する識者もいる。こうした税制改革のシナリオをどう描くのか。成長戦略の本丸はそこにあることを肝に銘じてもらいたい。

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