大人のための高校物理復習帳 桑子研著
雨はなぜ凶器にならないのか

いまや、高校で物理学を履修する生徒が3割を切ったとも言われる。科学技術大国日本は、物理嫌い大国になりつつあるのだ。
物理の嫌いな人は、もしかしたら、物理学ではなく、物理の先生が苦手だったのではありませんか? 先生に馴染(なじ)めないと、その先生が教えている科目も嫌いになることって多いですよね。
物理の教科書も書いている著者は、私の見るところ、生徒に慕われるタイプの先生だ。この本でも、誰もが学校で学ぶ物理公式を手がかりに、その公式の背後に隠れている科学的な意味や、応用例をわかりやすく紹介してくれる。
たとえば、等加速度運動の公式の説明では、「雨が凶器にならないのはなぜ?」と題して、雨の速度を計算してくれる。ふつうに計算すると、なんと時速504キロメートル! き、危険だ。でも、雨は、柔らかい傘で防ぐことができるし、雨に当たっても死ぬ人はいない。いったい、なぜだろう?
答えは本を読んでいただくとして、とにかく、この本には、物理の驚きがいっぱい詰まっている。現役高校生から大人まで、幅広く読んでもらいたい良書である。
★★★★
(サイエンス作家 竹内薫)
[日本経済新聞夕刊2013年6月19日付]
★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった
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