ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた 青山通著 クラシックと少年の成長記

2013/6/20付
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(アルテスパブリッシング・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

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「ウルトラセブン」は、テレビで1967年にはじめて放映された。ヒーローが変身をして悪とたたかう、特撮物の番組である。その最終回、第49話で主人公のダン隊員は、アンヌ隊員に自分の正体をつげた。自分は、人間じゃあない。セブンである、と。

その山場でBGMの音楽としてつかわれたのは、シューマンのピアノ協奏曲であった。少年時代の著者は、この場面とであい魂をゆさぶられる。あそこでつかわれたあの音楽は、いったいなんだったのだろう。

シューマンのピアノ協奏曲であることは、比較的はやくに気がついた。だが、「ウルトラセブン」の最終回で聴いた演奏には、なかなかたどりつけない。ルービンシュタインの弾き方は、おそすぎる。ケンプには、起伏がない。アンセルメの指揮でピアノにむかったリパッティは、比較的近いがずれもある。

そして、少年は模索のはてに、発見する。「ウルトラセブン」でひびいたピアノが、カラヤンとくんだリパッティのそれであることを。演奏者による解釈のちがいを、たのしむ。クラシック鑑賞のそんな勘所が、少年の成長物語とともにしめされる。

★★★★

(風俗史家 井上章一)

[日本経済新聞夕刊2013年6月19日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた

著者:青山通
出版:アルテスパブリッシング
価格:1,680円(税込み)

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