島はぼくらと 辻村深月著 普遍的な物語、なめらかに

2013/6/20付
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(講談社・1500円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

(講談社・1500円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

すごいなあ。短期間でこれだけ大きく成長する作家を見るのは久々だ。『ツナグ』で吉川英治文学新人賞を、『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞してきたが、それらの作品が全部習作に見えてしまうほど、素晴らしい。辻村深月のベストが、いまここにある。

瀬戸内海の小さな島を舞台にした物語である。島には高校がないため、4人の高校生はフェリーに乗って本土の高校に通っている。2人の男子と2人の女子。この4人が本書の中心だが、その周囲にたくさんの人が登場する。母親も祖母も、村長もIターン青年も、さまざまな人がさまざまな思いをかかえて登場する。人物だけではなく、さまざまな出来事が次々に起こることも書いておきたい。盛り沢山(だくさん)といっていい。下手すれば収拾がつかなくなっていたところなのに、物語がとてもなめらかに、自然に進んでいくのが素晴らしい。

胸をうたれた場面をじっくり紹介したいところだが、細かな紹介はいっさいしないことにする。

小さな島を舞台にした物語ではあるけれど、ここにあるのはもっと普遍的な、友情と恋と仕事、そして私たちの人生だ。

★★★★★

(文芸評論家 北上次郎)

[日本経済新聞夕刊2013年6月19日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

島はぼくらと

著者:辻村 深月, 五十嵐 大介
出版:講談社
価格:1,575円(税込み)

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