軽自動車への期待と不安

2013/6/12付
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国内の軽自動車市場がかつてない盛り上がりを見せている。新車販売台数における軽自動車の比率は4割近くに達し、地方にいけば新車の半分以上が「軽」という県も少なくない。5月の販売ランキングでも上位10車種のうち、軽自動車が7車種を占めた。

市場が伸びれば、それに連動して各企業の競争も熱を帯びる。ダイハツ工業、スズキ、ホンダの上位3社に対抗するために、日産自動車と三菱自動車が手を組み、今月、共同開発車を売り出した。日産にとっては自社で開発を手がけた初の軽自動車となる。

軽自動車の人気の理由は、一般の登録車に比べた税負担の軽さや初心者にも運転しやすい小さい車体などいくつかあるが、近年の商品力の向上も見逃せない。

ハイブリッドのような先端技術に頼らず、通常のエンジンの改良を重ねることで、軽の燃費性能は大幅に向上した。ガソリン1リットル当たりの走行距離(公定値)が30キロ前後の車種も少なくない。以前に比べれば高速走行での安定性もかなり良くなった。

だが、各社の軽自動車シフトには不安もつきまとう。車体が小さく、エンジン排気量が660ccという軽規格は日本独自のもので、そのままでは海外市場では通用しにくい。

国内でしか売れない技術や仕様にこだわり、世界市場での競争力を失った携帯電話の二の舞いは避けてほしい。

そのためには軽の開発で培った技術やノウハウを、世界に展開する必要がある。三菱自動車はアフリカなどで軽技術を生かせないかどうか検討するという。ダイハツは軽自動車「ミラ イース」で採用した廉価にクルマをつくる手法を、インドネシア向けの小型車開発にも取り入れた。

日本の自動車メーカーが世界で事業展開できたのは、米社などが苦手とした小さいクルマづくりが得意だったからだ。軽ブームを国内だけに終わらせず、世界戦略に結びつける経営力を期待したい。

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