2019年1月19日(土)

悪例を残した委員長の解任

2013/5/10付
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参院本会議で川口順子環境委員長の解任決議が野党の賛成多数で可決された。常任委員長を解任するのは日本の憲政史で初のできごとだ。与野党は事態がこじれるのを避ける方策があったはずだ。

川口氏は4月23日から2日間の予定で中国を訪れた。滞在中に副首相級の楊潔●(ち)国務委員と会えることになり、参院議院運営委員会の許可なしに帰国を25日に遅らせた。その結果、同日開催予定だった環境委が流会になった。

渡航延長が承認されないまま滞在を延ばしたのは川口氏に非があるが、岩城光英議運委員長に厳重注意されて陳謝した。これで一件落着という程度の話だ。だが、夏の参院選に向けて存在感を印象付けたい野党は「国会軽視の暴挙」と川口氏の追い落としに動いた。

沖縄県の尖閣諸島を巡るあつれきで日中の要人往来は途絶えている。現職でないとはいえ、元外相の川口氏が意見交換する機会をもてたことは有意義だった。

国会審議は重要だが、それで国益を損なっては意味がない。与野党は首相や閣僚などの海外出張を臨機応変にできるようにすると何度も申し合わせてきたが、実態はあまり変わっていない。

今回の騒ぎはその延長上にある。そもそも野党が川口氏の渡航延長を認めていれば問題は起きなかったし、理事会で委員長代理を定めて開会する手もあった。気に入らない委員長を数の力で解任する悪例が残って損するのは、むしろ野党だろう。猛省を促したい。

意趣返しの思惑から、全く無関係な参院予算委員会の予算案審議を欠席した自民、公明両党の対応も褒められたものではない。「ものごとを前に進める政治」を掲げる安倍政権の方針に反するし、こんな泥仕合を続けていれば国民の政治不信は募る一方だ。

憲法改正やアベノミクスの是非など、与野党で論じるべき課題はいくらでもある。衆院の選挙制度のあり方に関する協議もはかばかしく進んでいない。やるべきことをまずやる国会にすべきだ。

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