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日本車の復活を本物にするために

自動車各社の業績回復が著しい。トヨタ自動車が8日発表した2013年3月期決算は連結営業利益が1兆3千億円に達し、5年ぶりに1兆円の大台にのせた。ホンダは14年3月期の連結純利益を、過去最高益にほぼ匹敵する5800億円と予想する。

08年のリーマン・ショック以降、日本の自動車産業は立て続けに試練に直面した。金融危機でドル箱だった米国での新車販売が急減し、円高が追い打ちをかけて、業績はつるべ落としに悪化した。

トヨタの米国でのリコール問題で「品質神話」が陰り、東日本大震災やタイの洪水では供給網が寸断され、生産が滞った。昨秋には世界最大市場の中国で日本車排斥運動も起きた。

こうした逆風を跳ね返して、復活を果たしたのは、日本車メーカーの地力の強さの証しである。

最近の円安に助けられた面もあるが、地道なコスト低減活動や現地生産の拡大、さらには矢継ぎ早の新車投入といった自助努力が再起の原動力になった。

自動車産業は取引のすそ野が広い。業績回復の流れが他産業にも連鎖し、日本経済全体に好影響を及ぼすことを期待したい。

一方、世界に目を転じると、自動車の競争環境はむしろ厳しさを増している。金融危機以前は「世界市場で日本車が一人勝ちする」という強気の見方もあったが、ライバルの追い上げで、情勢は一変しつつある。米ビッグスリーは大型車偏重を改め、日本車の独壇場だった中型乗用車の市場で魅力的な新車を出すようになった。

独フォルクスワーゲンは中国やブラジルなど成長性の高い市場で強力な基盤を築いた。世界の自動車市場の重心が新興諸国に傾く中で、日本勢の多くは日米などの先進国の比重が高いままだ。

環境技術でもハイブリッド車は日本がリードするが、欧州勢を中心に通常エンジンの小型化で燃費を抑える「ダウンサイジング」技術の普及も進み、今後もせめぎ合いが続きそうだ。

自動車市場で成功するには、他の産業以上に息の長い取り組みが必要だ。国や地域ごとに工場や販売網を整備し、安全性や環境性能に万全を期して一つ一つの新車を作り込む。長い時間をかけて乗る人の信頼を獲得し、ブランドを磨く。今回の好決算は日本車が世界市場でさらに前進するための、一里塚にすぎない。

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