春秋

2013/4/29付
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今年の流行語大賞は「じぇじぇ」で決まり? そんな声が、早くも聞かれる。NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」に登場する言葉だ。驚いたとき岩手の三陸に住む主人公らが連発する「じぇ」。標準語の「えっ」に近い。大人も子供も、まねをし始めているそうだ。

▼話の軸になる一家の女性の生き方が三者三様だ。故郷から一歩も出なかった祖母。華やかな東京へと家出同然で上京した母。主人公の高校生は東京になじめず、母に連れられ初めての田舎暮らしで自分の道を見つける。かつて外国同然だった大都会は、手の届くあこがれの街を経て、今は輝きだけではない場所に描かれる。

▼社会学者・石黒格氏らの研究書「『東京』に出る若者たち」によれば、東京への転入者が増えた時期は3つある。集団就職が盛んな1960年代、80年代のバブル期、そしてリーマン・ショック前の10年間だ。東北からは若者の3人に1人が進学や就職で東京に移った。時代時代の要請で多くの人材を供給し続けたわけだ。

▼野心に満ちた人が大都市に集まり、富や流行を生む。地方はその後を追う。近年、その流れに異質な風が吹く。県民性の違いがテレビ番組の題材になり、方言を話すアイドルがナマドル(訛(なま)りアイドル)と呼ばれ注目される。「じぇじぇ」人気も一脈通ずる。人も生活文化も多様な方が面白い。そう思う人が増えた証しか。

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