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「ノマドワーカー」体験 5日間でわかったこと…

喫茶・専用カフェ・図書館で仕事

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 最近、カフェや図書館にパソコンを持ち込んで仕事をする人が増えた。「ノマド(遊牧民)ワーカー」ともいうようだ。外での仕事は集中力を高めるという噂も聞く。外で働くメリットは何か。自分にもそんな働き方ができるのか。思い切って会社の外で、仕事をしてみた。

記者(38)が5日間、社外で仕事し、集中力を検証しようと考えた。まずノマド成功のコツを調べた。約15年のノマド歴を持つ「『どこでもオフィス』仕事術」の著者、中谷健一さんからは「仕事は1時間程度など短く区切るといい」と助言された。「社外の仕事の最大の効果は場所を変えて気分転換し、集中力を高めること。ダラダラやると逆効果だ」という。

場所探しはインターネットを活用した。例えば「電源カフェ」というサイト。外での仕事向けにパソコン用電源を提供する東京や一部政令市の約1000店を無料で紹介する。運営者の林大勇さんは「複数の候補地を見つけておくといい」と教えてくれた。仕事内容で使い分けたり、満席時にすぐ別の場所へ移ったりできるからだ。

助言を参考に1時間単位で、喫茶店、ノマド特化型カフェ、図書館など電源が確保できる複数の場所で体験することにした。外で仕事をする際は、上司の了承が必要な会社も多い。今回は資料読みなど単純な事務作業と、今後の記事の企画立案をしてみる。

電源確保では どこも困らず

初日、東京都内の東急沿線に住む記者は、まず渋谷で「喫茶室ルノアール」へ。同チェーンは電源をほぼ全店に設置している。「電源を」と話すと店員は慣れた様子で案内してくれた。560円のアイスコーヒーを注文し、資料を読む。最初は人目が気になったが、終了時間が迫るにつれて集中力は高まった。

次は原宿のノマド特化型カフェ「ザ・ターミナル」に向かった。入会料150円を払う登録が必要で、料金は時間制(1時間380円~)。机や椅子はパソコン使用に向く広さと高さで、資料読みははかどった。中谷さんによれば「ノマド専用スペースも最近は数が増えている」。

午後は日比谷図書文化館(東京都千代田区)へ。18ある電源席は窓口で申請し空席があれば原則2時間使える。少し前はパソコン使用禁止の図書館も目立ったが「最近は電源を提供する図書館が増える傾向にある」(日本図書館協会)。

図書館は最も静かだが昼食後の静寂は眠気を誘う。この日初めて集中力低下を感じた。ただ初日トータルではA4用紙12枚の資料読みと、その要約作成という予定業務を完了。「1時間」を常に意識することで社内より集中でき、作業速度が上がる手応えを得た。

2日目は携帯電話に振り回された。実は中谷さんに「電話に気をつけて」と忠告されていた。不意の電話では取引先名など外で話すべきでない情報を口走りがちだからだ。「電話のときどうするかは事前に決めるべきだ」と言われ、記者は「通話可能な場に目星をつけておき、パソコンと貴重品だけ持参で移動」と考えていたが、盲点があった。

図書館で電話を受けると、予定通りパソコンを脇に抱え、館内の通話許可ゾーンへ。周囲に人はおらず通話はできたが、パソコンに気を取られて筆記用具を席に忘れた。この後はシャツのポケットへ常に小型メモとペンを入れたが、メモがとれなかった電話内容が気にかかり、集中力はいまひとつ高まらなかった。

「慣れと惰性」 紙一重と知る

3日目は外での仕事への慣れが思わぬ障害になった。図書館に並ぶ書籍や特化型カフェのお代わり自由の飲み物など、緊張していた1、2日目は気付かなかったものに目が行って再三、仕事の手が止まった。流れを変えようと、人目に付かない公園ベンチでパソコンを開くと、一気に仕事のスピードが上がった。慣れと惰性は紙一重と知る1日になった。

4、5日目は意識的に前半と違う場所を加え、事務作業から企画立案に仕事内容も変えた。4日目は自社の社員食堂、5日目は商業施設の休憩ベンチを選んだが、いずれも手応えあり。事務作業では気を散らす要因だった図書館の書籍などが、企画立案では思わぬヒントになる経験もした。企画案は2日で6本と目標の2倍を作成できた。

記者は場所を頻繁に変えて企画立案をすることで、集中力が高まった。「カフェで耳に入る他人の会話が、新企画につながる例も意外に多い」(林さん)という。社内では同僚との雑談でふと仕事が止まる時間があるが、外で仕事をするとそんなこともない。締め切り間近の仕事を一気に仕上げるときも、オフィス外が向くと感じた。

一方、落ち着いて電話を使いたいときは、オフィスに限る。仕事場の探求は結局、仕事の内容と自分の精神状態を見つめること。その難しさと面白さに改めて気付いた5日間だった。

記者のつぶやき
 今回訪れた喫茶室ルノアール、ザ・ターミナル、日比谷図書文化館はすべて無線LAN(構内情報通信網)を完備。どこでも仕事場になる時代なのだと実感した。
 ただネットやメールに振り回されると、結局オフィスにいるとき以上の成果は出ないのではないかという気持ちが強くなった。機会があるならわずかな時間だけ、全通信をあえて断って、仕事に向き合うことも試してみたい。
(堀大介)

[日経プラスワン2013年4月20日付]

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