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三塁ベースコーチ、攻める。 澤宮優著

野球観戦の楽しみ膨らむ

(河出書房新社・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

壊れた信号機。実社会で目にする機会はまずあるまい。ただし野球場なら故障率は低くない。赤なのに青信号が灯(とも)ってあわれ本塁に憤死を何度も見た。

信号機とは「三塁ベースコーチ」その人である。球は転々、走者、二塁をけって三塁、さて、ここからどうするか。野手の肩の強弱、こちらのスピードの有無など瞬時に秤(はかり)にかけてゴーかストップか明確な動作で伝えなくてはならない。いつでも選手の目となり、監督の頭となる。

本書は、先日のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)日本代表の高代延博コーチら、この難儀な職責の名人級を取材、三塁付近の出来事に焦点を絞り、野球観戦の楽しみをふくらませてくれる。

現在のオリックス監督森脇浩司は述べる。

「家が完成したときに、瓦の下に誰が釘(くぎ)を打ったんだ、ということがクローズアップされるべき状況がある」

屋根が崩れた場合、すなわち本塁アウトの結末にのみ無名は悪名となる。三塁コーチは辛(つら)いよ。

ある競技の特定の領域に特化する。スポーツ書のこれからの方向性を示す一冊でもある。

★★★★

(スポーツライター 藤島大)

[日本経済新聞夕刊2013年4月3日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

三塁ベースコーチ、攻める。 ---監督を代行する10番目の選手

著者:澤宮 優.
出版:河出書房新社
価格:1,680円(税込み)

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