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憧れの女の子 朝比奈あすか著

素敵な 予想外の幕切れ

(双葉社・1400円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

俊彦が敦子を意識したのは営業で外回りをしていたときだ。降り始めた雨に、あれっと顔をあげた敦子の白い首筋が綺麗(きれい)だった。いまでも綺麗だがしかし2人の息子の母親となった敦子は、次は女の子を産むわと宣言して、あれこれと注文してくる。

彼女が仕入れた産み分けの指南書によると、女の子を妊娠するためにはセックスの最中に女性がオーガズムに達してはいけないそうだ。そのため女性は足を広げ過ぎてはいけない、男性は膣(ちつ)の奥で射精してはいけない、といった細かな縛りがある。夫婦の営みも決められた日にしなければならない。

何もそこまでしなくても、という複雑な思いが俊彦にはあるが、それを敦子には言いだせず、なんだかなあという日々にいる。そういう夫婦の生活が夫の側から軽妙に描かれていく。ベンチャー企業に入社したばかりの熱い日々、若い女性部下が妙に迫ってくる現在のこと、さまざまな同僚たち。そういう職場の風景も絶妙だ。

問題はこの短編をどこに着地させるかだが、まったく予想外の幕切れが待っている。そのラストが素敵(すてき)だ。

★★★★

(文芸評論家 北上次郎)

[日本経済新聞夕刊2013年3月27日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

憧れの女の子

著者:朝比奈 あすか.
出版:双葉社
価格:1,470円(税込み)

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