/

日・EU経済連携とTPPの相乗効果を

日本と欧州連合(EU)の経済連携交渉が4月に始まることになった。これまで日本側が強く求めていながら、関税を下げたくないEU側が先送りし続け、6年間も待たされた末にたどりついた交渉開始である。

ライバルの韓国は日本より先にEUと自由貿易協定(FTA)を結んだ。韓国製品は既に2年前から段階的に関税が引き下げられている。失われた時間を取り戻さなければならない。短期決戦の構えで臨み、日本の経済成長を支える中身の濃い協定をつくりたい。

EUの姿勢が軟化したのは、日本が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に意欲を示したからだ。EUは日本との交渉に踏み切るとともに、米国とも近くFTA交渉に入る。日中韓3カ国の交渉も今週から始まった。

TPPが刺激となり、世界中でさまざまな貿易自由化への取り組みが動き出している。通商国家である日本にとって大きなチャンスがやってきたと考えるべきだ。この潮流に乗って、世界市場で有利な競争条件を一気に目指したい。

EUとの交渉で優先すべき課題は、何よりもEU側の関税撤廃である。EUはいまだに自動車に10%と高い関税をかけている。こうした時代遅れの欧州の保護主義には正々堂々と挑み、韓国に比べて不利な条件を一日も早く解消しなければならない。

一方、複数の枠組みから相乗効果を引き出すためには、日米欧3極のバランスにも目を配る必要がある。賛否両論を含め、日本国内の関心は圧倒的にTPPに向いている。だが実際には、日本の市場開放をめぐりEUは米国以上に厳しい要求を突きつけている。

たとえば日本政府とEUは、正式交渉に先立つ事前協議の合意文書を非公開にしている。ここには欧州企業が攻め込みたい日本の市場分野や、日本側が対応すべき規制改革が記されている。国内政治にもまれるTPPの陰に隠れて、日・EU交渉が密室の中で進められてよいはずがない。

これからは米欧との距離を慎重に測る必要がある。TPPで協議するルールと、EUが目指す制度は異なるのが当然だろう。日本がどちらの陣営に加わるか判断を迫られる可能性もある。だが、日本は日本独自の通商政策を描かなければならない。時には米欧の対立も利用して国益を追求する、したたかな戦略が問われる。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連キーワード

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン