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1票の格差「違憲」判決が迫る抜本改革

最大2.43倍となった「1票の格差」を是正しないまま実施された昨年12月の衆院選について、東京、札幌の両高裁が「違憲」とする判決を言い渡した。

同様の訴訟は全国14の高裁・支部で審理されており、今月中に判決が出そろう。その冒頭から立法府の不作為に対する司法の厳しい姿勢が示された。「次は選挙無効の宣告もためらわない」とさえ受け止められる内容である。

国会は抜本的な改革に動かなければならない。まずは解散当日に決まった、小選挙区を「0増5減」する新たな区割りに沿った法改正を今国会で実現し、最低限の格差是正を急ぐべきだ。そのうえで抜本改革の議論を進め、目に見える成果を示す必要がある。もはや猶予は許されない。

昨年の衆院選は、最高裁が判決で「違憲状態」とした2009年の前回選挙と同じ区割りで実施された。最高裁判決から今回の選挙までは1年9カ月の期間があった。相次ぐ「違憲」判断は、この間に是正策がとられなかったことに業を煮やした結果であろう。

両高裁とも「0増5減」など一定の対応がなされた事実は認め、選挙を無効とする判断は避けた。それでも東京高裁は「判決確定から一定期間が経過した後に議員を失職させる判決も検討の対象になる」などと言及している。無効判決の出し方をわざわざ説明したかたちだ。司法からの強い警告ととらえるべきである。

もともと0増5減は、昨年の衆院選が違憲とされるのを避ける緊急避難の案である。これが実現すれば、最高裁判決が合理的と判断した「2倍未満」の格差に当面は収まることになる。

しかし最低限の基準をクリアするため、つぎはぎの是正を繰り返していては国会の信頼失墜につながりかねない。札幌高裁は判決で、この0増5減を「最高裁判決が求めた改正とは質的に異なる」と指弾している。

抜本改革に向け自公民の3党は実務者協議を始めているが、各党が自らの利益や立場を主張し、先行きは不透明だ。与野党は党利党略を乗り越えて一刻も早く合意にこぎ着けなければならない。

参院の定数格差も放置できない。昨年末に選挙区の4増4減を決めたことで抜本改革への熱意はかなり冷めている。しかし格差がなお4.75倍に及ぶ現実を改めて指摘しておきたい。

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