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安倍首相にTPP決断を迫る米欧連携

米国と欧州連合(EU)が幅広い経済連携を目指して、自由貿易協定(FTA)交渉を始めることになった。安倍政権は、米欧が急接近する理由と日本やアジアへの影響を正しく読み取り、民主党政権下で停滞していた通商政策を立て直さなければならない。

日本にとっては、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加が待ったなしになる。次世代の通商のルールづくりが米欧の主導で進めば、日本に不利な仕組みが出来上がりかねない。環大西洋の動きに合わせて、環太平洋でも日米を軸に連携を急ぐ必要がある。

米欧間の貿易自由化の構想は、1990年代から何度も浮上したが、実現には至らなかった。それぞれ守りたい分野で関税を残しているほか、安全や環境をめぐる技術基準や投資規制など、米欧の制度の隔たりが大きいためだ。

違う仕組みで動く2つの巨大経済圏を統合する交渉は、容易ではない。実現には痛みを伴う構造改革が必要となり、米欧ともに域内の政治コストは大きい。それだけに、構想を実行に移せる政治指導者は、これまでは現れなかった。

痛みを覚悟で両者が交渉に踏み切るのは、経済成長の活路を自由貿易に見いだしているからだ。ユーロ危機に伴う緊縮財政で、欧州は内需の成長が見込めない。リーマン・ショックの後遺症が残る米国は輸出への期待が大きい。

世界経済を支える柱である先進国として、米欧は必死に成長を模索している。その危機感を日本は共有しているだろうか。

今週訪米する安倍晋三首相は日米首脳会談で、TPP交渉の過程で関税撤廃に例外品目を設ける可能性を探るという。経済大国の政治指導者が語る通商政策として、いかにも小さいのではないか。

FTA締結で環大西洋の貿易・投資を増やすだけでなく、米欧の関心は、成長力が旺盛な東アジアにも向いている。米欧には環大西洋の連携をテコに、アジア各国に自由化を促す狙いもある。

とりわけ自国の利益を優先する中国を国際ルールの枠組みに取り込む努力は、日米欧が協調して取り組むべき課題であるはずだ。中国も加盟する世界貿易機関(WTO)協定は、導入から20年近くたち時代遅れとなりつつある。新しい通商秩序を築く時が来ている。

TPPはその次世代のルールの土台となる可能性が大きい。早急な交渉参加が日本の責任である。

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