政治家は相場から距離置いて

2013/2/15付
保存
共有
印刷
その他

安倍晋三内閣が誕生して以来、政府・与党の要人が金融市場に関する発言をすることが増えた。政治家が市場を意識するのは結構だが、相場誘導ととられたり、投機を促したりする可能性がある発言は控えたほうがいい。

政権周辺の発言で目立つのは円相場や株価の具体的な水準に言及した点だ。例えば、望ましい円相場として自民党の石破茂幹事長は昨年12月「85~90円」とした。内閣官房参与の浜田宏一氏が「95~100円」と語ったこともある。

日経平均株価についても、甘利明経済財政・再生相が先週末「期末までには1万3000円を目指して頑張るぞという気概を示すことが大事だ」と述べた。

政治家の発言は、民間の金融機関やエコノミストが出す相場予想とは、性質がまったく異なる。言及された水準は目標と受けとめられ、短期売買の標的になりかねない。様々な思惑が交錯するため、望ましい方向や水準からかけ離れた結果になることもある。そんな怖さが市場にはある。

デフレ脱却を目的とした金融政策などの結果、円高が是正され、企業収益も好転すれば、株価は上昇する。これが政策が市場に影響を及ぼす道筋であり、具体的な円相場や株価の水準が先走って語られることには違和感がある。

株式市場の活性化には、企業業績や日本経済への信頼を取り戻すことが重要だ。政府に求められるのは企業が新しい事業を始め、産業の新陳代謝が進むような環境整備だろう。世界の株式に投資する米欧の年金基金などの中には、日本の変身を疑う向きも多い。安倍内閣は具体的な経済改革の姿を示し、これにこたえていくべきだ。

欧州などから日本に対して円安誘導批判が出た背景には、政権やその周辺から相場水準についての言及が相次いだことがある。そうした発言はなくなりつつあるが、今後も慎重な姿勢で臨むべきだ。

相場のことは相場に聞けという。政治家は市場の動きに一喜一憂せず悠然と構えていてほしい。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]