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TPP交渉参加を決断し成長戦略の柱に

安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」は、3本目の矢である成長戦略が最も重要だ。日本経済の成長を支える柱は、日本企業と日本人の活動の舞台を広げる貿易自由化である。そのためには環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に一日も早く加わる必要がある。

自民党内には交渉参加への反対論が根強い。農業団体や医師会など、政界に影響力が強い勢力の反対運動が続いている。党内の議論は、夏の参院選で不利になりたくないとの見方に傾きがちだ。

だが日本経済の再生は待った無しである。通商を含む外交政策は政府の決定で進めるのが筋だ。得票を気にして揺れる党内の議論に委ねず、首相自身が政策的観点から決断し、実現に向けて強い指導力を発揮しなければならない。

2月後半の日米首脳会談での参加表明が、日本が交渉に間に合うぎりぎりの期限となるだろう。日本が参加を表明しても、すぐには交渉に入れず、米国内の手続きに最短3カ月かかるからだ。

現在11カ国のTPP交渉国は、10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での大枠合意を目指している。今後の交渉は3月、5月、9月に開かれるが、仮に安倍首相が2月に参加を表明しても、合流できるのは早くて9月の会合からとなる。

もし参院選まで先送りすれば、9月合流も不可能となり、APECにも間に合わない。11カ国によるTPP交渉が目標通り年内に妥結するとは限らないが、日本が不在のまま、次世代の通商秩序のひな型となる協定の骨格が固まってしまう恐れが大きい。

昨年までの民主党政権の最大の問題は、関税撤廃に不安を抱く国内農家に対し、有効な対策を示せなかったことだ。過渡的な支援策や競争力を高める新しい農政シナリオを描かない限り、農業側はTPP反対の声を高めるだけだ。

従来と同じ方法で手厚い保護を続けても、日本の農業の衰退は止まらない。安倍首相は、力強い成長を目指して、産業競争力会議と規制改革会議を立ち上げた。その意志を貫き、農業改革からも逃げずに真正面から取り組むべきだ。

安倍首相は農業再生の戦略策定を国内で明確に指示し、日米首脳会談でTPP交渉に参加する意志を伝えるべきだ。参院選まで難題を先送りするなら、国民と金融市場の「アベノミクス」への期待は一気にしぼむだろう。

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