続「教育再生」は的を絞って地道に骨太に

2013/1/27付
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安倍晋三首相の肝煎りで、新たな教育改革構想を打ち出すための「教育再生実行会議」が発足した。首相は2006年に政権を担った際も「教育再生会議」を設けており、今回はその「続編」だ。

座長の鎌田薫早大総長らメンバー15人は、企業人や県知事など多彩な顔ぶれとなった。幅広い意見のやり取りを期待したいが、誰もが教育には一家言あるだけに議論をどう整理し、実のある提言につなげていくかが問われよう。

実行会議のテーマはいじめ問題や教育委員会のあり方、大学入試改革、6・3・3・4制の見直しなど多岐にわたりそうだ。前身の再生会議で議論されながら生煮えに終わった課題とも重なる。

再生会議もさまざまな主張を持つ委員が活発に改革策を論じ合った。しかし議論は迷走し、思いつきのアイデアが飛び出したり観念論に終始したりの連続だった。

こんどは、そうした失敗を繰り返さないようにしてもらいたい。そのためにはまず、この会議で何をめざすのか、理念や基本的な方向を確認することだ。そのうえで優先順位を決める必要がある。

あれもこれも手をつけようとせず、たとえば大学入試について具体的、抜本的な見直し策をまとめるなど、実際の教育に波及効果の大きい改革案づくりに力を注ぐべきだろう。的を絞り、地道で骨太な議論を重ねてほしい。

初会合では、当面はいじめや体罰問題を議論することが決まった。いま国民的な関心が高いテーマに取り組まざるを得ないという事情はわかるが、本来なら、こうした現象面のテーマと6・3・3・4制など根本的な制度問題を同じ会議で論じるのは無理がある。

文部科学省の中央教育審議会との役割分担も欠かせない。実行会議には中教審委員を兼ねているメンバーもいるから、うまく連携してもらいたい。実行会議では大きな方向を打ち出して中教審で肉付けするといった対応が要る。

安倍首相の教育改革への意気込みには、戦後教育が日本の伝統的な価値観や国家意識を育むのをないがしろにしてきた、という危機感がにじんでいるようだ。

実行会議でこうしたテーマに踏み込む場合、外交面にも配慮した冷静な議論が求められよう。メンバーには保守派の論客も入っているが、会議全体としてはバランスをとり、実質的な改革論議を進めるのが肝要だろう。

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